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2024.09.07 情報セキュリティ

ISO 27001:2022への対応で注意すべきポイント

ISO 27001:2022は、情報セキュリティ管理システム(ISMS)に関する国際標準規格で、企業や組織が情報セキュリティを効果的に管理するためのフレームワークを提供しています。2022年の改訂版では、デジタル技術の進展に伴うリスクに対応するための変更が加えられ、セキュリティ管理の新たな基準が追加されました。これにより、企業は最新のリスクに対応しつつ、業務のセキュリティレベルを向上させることが求められます。この記事では、ISO 27001:2022への対応で特に注意すべきポイントを解説します。

1. 改訂内容の把握と適用

まず、ISO 27001:2022の主な改訂点を理解することが重要です。新しい規格では、情報セキュリティのリスクが多様化する中、クラウドセキュリティやリモートワーク環境の増加など、現代の企業が直面する特有のリスクに対応するための管理策が強化されています。以下は、主要な改訂内容の概要です。

  • 管理策(Annex A)の変更
    ISO 27001:2022では、Annex A(付属書A)の管理策が93項目から94項目に変更され、より具体的なリスク対応策が盛り込まれています。また、これまでの14のカテゴリが4つのテーマ(組織的、人的、物理的、技術的な管理策)に再構成されました。これにより、企業はリスク対応の全体像を整理しやすくなり、セキュリティ管理策の一貫性が向上します。
  • 新たな管理策の追加
    クラウドセキュリティ、サプライチェーンセキュリティ、データの漏洩防止、物理的および環境的セキュリティなど、新しいリスクに対応するための管理策が追加されました。特に、リモートワークの増加に伴い、リモートアクセスやモバイルデバイスの管理に関する策が強化されています。

2. リスクベースのアプローチの徹底

ISO 27001の基本的な考え方として、リスクベースのアプローチが中心にあります。情報セキュリティリスクを組織的に評価し、リスクに基づいて管理策を選定することが求められます。2022年の改訂版では、このリスクベースの考え方がさらに強調されています。

対応にあたっては、次のポイントに注意が必要です。

  • リスク評価の見直し
    新たな脅威や脆弱性が登場する中で、企業はリスク評価プロセスを定期的に見直し、リスク対応策を最新の状態に保つことが重要です。特に、新しい管理策や業務環境の変化(例:リモートワークやクラウドサービスの導入)に対応したリスク評価が求められます。
  • リスク受容基準の明確化
    組織は、どの程度のリスクを受容するのかを明確に定義し、リスクに対する対応方針を策定する必要があります。これにより、リスク対応が一貫して行われ、無駄なリソースの投入や過剰な対応を避けることができます。

3. クラウド環境とリモートワークに対応したセキュリティ強化

近年のビジネス環境の変化により、クラウドサービスやリモートワークの利用が急増しています。これに伴い、ISO 27001:2022では、クラウド環境やリモートワークに対するセキュリティ強化が求められています。

  • クラウドセキュリティの管理策
    クラウドサービスは利便性が高い一方で、データの漏洩や不正アクセスのリスクが増大します。ISO 27001:2022では、クラウド環境におけるアクセス制御、データの暗号化、監査ログの管理、クラウドプロバイダーのセキュリティ対策の評価などが重要視されています。企業はクラウドサービスを利用する際に、プロバイダーのセキュリティ体制を確認し、契約においてセキュリティ要件を明確にする必要があります。
  • リモートワークのセキュリティ強化
    パンデミックを契機にリモートワークが広がり、従業員が外部から社内システムにアクセスするケースが増えました。この状況に対応するため、リモートアクセスのセキュリティ、モバイルデバイスの管理、VPNや多要素認証の導入が重要です。特に、業務に使用するデバイスのセキュリティ基準や更新状況の管理が求められます。

4. サプライチェーンセキュリティの強化

ISO 27001:2022では、サプライチェーンセキュリティの強化が重要なポイントとなっています。企業が外部のベンダーやサービスプロバイダーと協力する中で、情報セキュリティのリスクがサプライチェーン全体に広がる可能性があるためです。

  • 外部委託先の評価と管理
    企業は、外部委託先が十分なセキュリティ管理を行っているかどうかを評価する必要があります。契約の段階で、情報セキュリティに関する要件を明示し、監査の実施や定期的な評価を行うことが求められます。サプライチェーン全体でリスクを管理することが、企業のセキュリティ体制を強化するために欠かせません。
  • インシデント対応の計画
    サプライチェーンに関わるインシデントが発生した場合に備えて、迅速に対応できる体制を整えることも重要です。委託先やパートナー企業との間で、インシデント発生時の連絡方法や対応手順を事前に決定し、情報共有の仕組みを確立しておくことが求められます。

5. 継続的な改善と内部監査の実施

ISO 27001は、単にセキュリティ対策を実施するだけでなく、継続的な改善を求めています。2022年版でもこの点は重要視されており、内部監査や評価プロセスの定期的な見直しが強調されています。

  • 内部監査の強化
    内部監査は、情報セキュリティ管理システムが適切に機能しているかを確認するための重要なプロセスです。ISO 27001:2022では、内部監査の頻度や範囲を定期的に見直し、リスク評価や業務環境の変化に応じた監査を実施することが推奨されています。
  • PDCAサイクルの実践
    Plan-Do-Check-Act(PDCA)サイクルは、セキュリティ管理策を継続的に改善するための基本的なフレームワークです。セキュリティ管理が組織全体で実践され、定期的に評価・改善されることで、ISO 27001の要求を効果的に満たすことができます。

6. 人的セキュリティの重要性

ISO 27001:2022では、人的セキュリティの強化も重要視されています。どれだけ技術的なセキュリティ対策を導入しても、従業員の意識や行動が不適切であれば、情報漏洩のリスクが高まります。

  • 従業員の教育と意識向上
    定期的なセキュリティ教育やトレーニングを実施し、従業員一人ひとりが情報セキュリティの重要性を理解することが必要です。また、新しいリスクや脅威に対する最新の知識を提供し、具体的な対応策を身につけさせることが効果的です。
  • セキュリティポリシーの遵守
    組織内で定めたセキュリティポリシーやルールを徹底するための体制を整え、違反が発覚した場合には適切な措置を講じることが求められます。全従業員がセキュリティポリシーを理解し、日常業務において実践できるような環境を構築することが重要です。

まとめ

ISO 27001:2022への対応では、組織全体で情報セキュリティリスクを適切に管理し、継続的に改善する体制を整えることが求められます。リスク評価の見直し、クラウド環境やリモートワークへの対応、サプライチェーンセキュリティの強化など、多岐にわたるポイントに注意し、最新のリスクに適応したセキュリティ対策を講じることが重要です。

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