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2024.10.09 ISMS

医療系の会社がISMSと3省2ガイドラインの両方に取り組むべき理由


医療業界では、患者の個人情報や診療データといった極めて機密性の高い情報が日常的に取り扱われています。これらの情報は、漏洩や不正アクセスが起こった場合、患者のプライバシーが侵害されるだけでなく、医療機関の信頼性が大きく損なわれる可能性があります。こうした情報の安全を確保するために、医療系の会社は情報セキュリティに対して万全の対策を講じる必要があります。
そのため、医療分野においては、**ISO 27001に基づく情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)**と、3省2ガイドラインの両方に取り組むことが強く求められています。この記事では、医療系の会社がなぜISMSと3省2ガイドラインの両方に取り組むべきなのか、その理由について詳しく解説します。

1. ISMS(ISO 27001)の概要

ISO 27001に基づく情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)は、国際的に認められた情報セキュリティの管理フレームワークです。ISMSは、情報の機密性、完全性、可用性を確保するために、組織全体でセキュリティリスクを特定・管理・改善するプロセスを提供します。具体的には、以下のような取り組みを組織に要求します。
リスクアセスメント:情報資産に対するリスクを評価し、リスク軽減策を講じる。
セキュリティポリシーの策定:組織全体で情報セキュリティに関する方針を策定し、従業員に周知。
内部監査と継続的な改善:定期的な監査とリスク評価を通じて、セキュリティ対策を継続的に改善。
ISMSを導入することで、医療系の会社は国際的な標準に基づくセキュリティ体制を構築し、患者情報の保護において信頼性を高めることができます。

2. 3省2ガイドラインの概要

一方、3省2ガイドラインは、日本国内での特定業界に向けた情報セキュリティや個人情報保護に関するガイドラインです。特に医療業界に関連するガイドラインとしては、以下の3つの省庁が策定したガイドラインが該当します。
総務省:「個人情報保護に関するガイドライン」
経済産業省:「経済産業省における情報セキュリティのためのガイドライン」
厚生労働省:「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」
これらのガイドラインは、特に医療機関や医療系の企業が扱う個人情報に関する具体的な規制や、情報システムのセキュリティ対策を規定しています。たとえば、厚生労働省のガイドラインでは、医療情報システムの運用に関する具体的な技術的対策や、組織的な情報セキュリティ管理の要件が詳細に示されています。これに従うことで、法的要求に対するコンプライアンスが確保されます。

3. 両方に取り組むべき理由

医療系の会社がISMSと3省2ガイドラインの両方に取り組む理由は、それぞれの取り組みが異なる側面を補完し合うからです。それぞれの制度がカバーする領域や目的は多少異なりますが、同時に実施することでより堅固な情報セキュリティ体制を築くことが可能です。

4. 法的要求への対応

まず、3省2ガイドラインは日本国内の法令や規制に従って策定されたものであり、医療分野の企業にとってはコンプライアンスの確保が不可欠です。特に、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」は、医療機関や関連企業に対して厳格なセキュリティ管理を求めています。これに従わない場合、罰則や行政指導が行われる可能性があるため、法的リスクを回避するためには必ず遵守する必要があります。
一方、ISMSは、法的要求を超えて、組織が自律的にセキュリティリスクを評価し、適切な対策を講じるフレームワークを提供します。これは法的基準に準拠するだけでなく、組織の業務や環境に特化したリスクマネジメントを行うための柔軟性を持っており、組織全体のセキュリティ意識を向上させます。

5. 組織全体のセキュリティ管理

3省2ガイドラインは、特に医療分野での個人情報保護やシステムの運用に重点を置いていますが、ISMSはそれを包括する形で、組織全体の情報資産の保護を目指しています。つまり、ISMSを導入することで、医療データ以外の情報資産(例えば、従業員データや取引先データ)についても適切なセキュリティ管理が可能になります。
また、ISMSの導入により、情報セキュリティの管理策が体系的に整備され、社内全体で一貫性を持って運用されます。これにより、医療分野に特化した3省2ガイドラインで規定される情報セキュリティ管理の要件も自然とカバーされ、より高度なセキュリティ対策が実現します。

6. 継続的な改善と監査

ISMSの重要な特長は、継続的な改善プロセス(PDCAサイクル)を組織に根付かせる点です。これにより、情報セキュリティの実効性を定期的に見直し、必要に応じて改善を図ることができます。一方、3省2ガイドラインでは主に法的要件に基づいた対応が求められますが、ISMSを導入することで、これらの要件を超えたセキュリティ強化が可能です。
さらに、ISMSの内部監査を通じて、3省2ガイドラインの遵守状況をチェックし、問題があれば改善することも容易になります。これにより、組織全体のセキュリティ体制が継続的に強化され、ガイドラインに違反するリスクも低減します。

7. グローバルな信頼性の向上

ISMSは国際規格であるため、医療系企業がグローバルに事業を展開する際に、ISO 27001に準拠していることは取引先やパートナーからの信頼を得るための重要な指標となります。3省2ガイドラインは国内法規に特化しているため、国内の法令遵守には有効ですが、国際的なビジネスを展開する際には、ISMSの導入がより有効です。

8. まとめ

医療系の会社が情報セキュリティ対策として、ISMSと3省2ガイドラインの両方に取り組むことは、組織のセキュリティ体制を全方位的に強化するために必要です。3省2ガイドラインにより、医療情報や個人情報の保護に関する国内法令を遵守しつつ、ISMSを導入することで組織全体の情報セキュリティリスクを管理し、グローバルな信頼性を高めることができます。

これらの取り組みを通じて、医療系の会社は法的リスクを回避し、患者や取引先からの信頼を向上させ、さらに情報セキュリティ体制を継続的に改善することが可能です。

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