1. はじめに
ISO 27001は、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格であり、組織の情報資産を適切に保護するための基準を提供しています。その中でも**管理策5.13「情報のラベル付け」**は、情報資産を適切に分類し、セキュリティ対策を強化する重要な要素です。
情報のラベル付けは、機密情報や重要データを識別し、適切に取り扱うために不可欠なプロセスです。
本記事では、その目的や実施方法、具体的なラベル付けの例について詳しく解説します。
2. 管理策 5.13「情報のラベル付け」の目的
情報のラベル付けは、情報の機密性や重要度を明確にし、適切な管理を行うための仕組みです。
この管理策の主な目的は次の3点です。
➤ 情報の適切な取り扱いを促進
情報の重要度や機密性に応じて、アクセス制御や取扱いルールを適用します。
➤ 情報漏えいのリスクを低減
機密情報が適切にラベル付けされることで、誤った共有や誤送信を防ぎます。
➤ 法令や規制の遵守
GDPRや個人情報保護法などの法規制に準拠し、適切な管理を実現します。
3. 情報のラベル付けの実施方法
(1) 情報の分類
情報を適切に管理するために、まず情報の分類を行います。一般的な分類例として、以下のようなカテゴリがあります。
機密(Confidential)
企業秘密、個人情報、知的財産など
内部(Internal)
社内限定で使用される情報
公開(Public)
一般公開可能な情報(Webサイトの情報など)
組織によっては、さらに細かいカテゴリを設定することもあります。
(2) ラベル付けの方法
ラベル付けは、以下のような方法で実施されます。
① デジタル情報のラベル付け
・ファイル名にラベルを付与(例:「機密_顧客リスト.xlsx」)
・メタデータを利用(ファイルのプロパティに機密性レベルを記載)
・文書ヘッダーやフッターにラベルを記載(例:「機密情報 – 取扱注意」)
② 物理文書のラベル付け
・表紙や各ページに「社外秘」「機密」などのスタンプを押す
・色分けしたラベルやシールを貼る
③ Eメールのラベル付け
・件名に【機密】や【社外秘】を追加
・メール本文に注意喚起のメッセージを記載
(3) ラベル付けの自動化
Microsoft PurviewやGoogle DriveのDLP(データ損失防止)機能を活用すると、特定のキーワードを含む文書に自動的にラベルを付与できます。特に大規模な企業では、自動分類システムを導入することで、人的ミスを防ぎつつ効率的に管理できます。
4. 情報のラベル付けを導入する際のポイント
従業員への教育と意識向上
ラベル付けのルールを明確にし、従業員に研修を実施することが重要です。
統一されたルールの策定
企業全体で統一された分類基準とラベル付けルールを設定する必要があります。
定期的な見直しと改善
情報の重要度や分類基準は時間とともに変化するため、定期的な見直しが必要です。
5. まとめ
ISO 27001の管理策5.13「情報のラベル付け」は、情報の適切な取り扱いを確保し、セキュリティリスクを軽減する重要な施策です。情報の分類を明確にし、適切なラベルを付与することで、誤送信や漏えいのリスクを最小限に抑えることができます。
組織に合ったルールを策定し、適切なツールを活用しながら、情報セキュリティを強化していきましょう!